女たちを深い絶望から救うものは、歌と庭師しかない。
この歌をいつまでも聞いていたい。
池澤夏樹(作家)
何と妖しく、何と美しく哀しい映画だろう。
テロの時代に暴虐を受けた母。故郷を捨てたものたちの魂の流浪。
その悲しみを身に受けたファウスタの果てしない闇。
なのに、画面のひとつひとつが何とも美しい。フェリーニの手法を思わせる幻夢的世界だ。
乾ききったリマ郊外のパチャカマに暮らす貧しい暮らしさえ、光いっぱいに沸き立っている。
加藤登紀子(歌手)
他者を拒む闇から、光を求めてこじり出るイモの芽のように、ファウスタからは歌が湧き出します。
歌は、母の痛みに囚われていた彼女に、痛みや喜びを自分のものとして生きる力を与えました。
誰にだって植えつけられた恐れがあります。
けれど、どんなに怯えて心を閉ざしていても、生に期待することはやめられません。
差し伸べられる温かな手は、きっと泥にまみれて近くにあるのです。
小島慶子(ラジオパーソナリティー)
ファンタジックな作品世界なのにどこかリアル。
作品のテーマである「悲しみの連鎖」は抽象化されて描かれているが、
その背景には剥き出しの生と死が息づいている。
心の奥に突き刺さって離れない。
緒川たまき(女優)
リマ郊外の砂漠が隆起したようなアンデス。
その麓の飢えを暴力を逃れてきた人々が暮らす集落で育ったファウスタは、
この地の農耕文化を支えた生命力あふれるジャガイモの可憐な紫の花そのものである。
彼女は母の歌から先住民族の集団的記憶の中に生きる精神世界を受け継いだ。
苦悩と愉楽、超自然と合理性、ケチュア語とスペイン語が拮抗しつつ錯綜し、詩的磁力を放つペルーがここにある。
田村さと子(詩人/『楽園への道』翻訳者)